この時代の人類の暮らしについて

1.居住環境:光の届かない「地下の民」

主な居住区:「与えしものたち」の小惑星爆撃と、その後の環境激変から逃れるため、人類は地表を捨てた。彼らの主な生活圏は、旧時代の巨大な地下街、下水道網、地下鉄の廃線跡、あるいは自然の洞窟などである。

コミュニティの規模:国家は消滅した。数十人から、多くても数百人程度の小さな「集落(シェルター)」が各地に点在している。集落同士の交流は、地上を移動するリスクが高いため、ほとんどない。
地上の拠点:一部の武装した集団は、廃墟となったビルや要塞化された工場跡などを限定的な活動拠点としているが、恒久的な居住は困難。

2.生命線:テクノロジーへの歪な依存
インフラの要「供給機」:水、空気、そして限定的な電力は、旧時代に設置された「供給機(生命維持装置)」に完全に依存している。この供給機の動力源こそが、半永久エネルギーを生み出す「無限コア」である。

「無限コア」を巡る争い:供給機の維持、そして新たな「無限コア」の確保は、人類の生存における最優先事項。自律重機も無限コアを持つものは重要インフラや戦闘・救助用機体のみ。火星大戦で無限コアが劣化して交換が迫っている個体もある。無限コア非搭載の機体は電力を補給する必要。そのため彼らにも無限コアは必要なのだ。これが後述する「コア狩り」という人間同士、あるいは人間と自立機の醜い争いの火種となっている。

3.食料事情:原始と近代の融合
自給自足:地下水を利用した水耕栽培やキノコ類の養殖。あるいは地上の比較的安全なエリアでの限定的な農耕や、狩猟で食料を確保している。やっていることは、原始的な農耕や狩猟だが、使う道具は、旧時代のセンサーや、バッテリー駆動の機材だったりする。まさに「火では満足できず、近代的な装置に依存する太古の人類」という歪な文明レベルにある。

4.社会と文化:疑心暗鬼と、失われた記憶
信頼の崩壊:他の集落は協力相手ではなく資源を奪い合う「敵」であるという不信感が蔓延している。AIが流す偽情報や人間が流す偽情報が飛び交い互いを騙し合うのが日常。

自律機との関係:大きく分けて「無限コアを奪う敵」か、「得体の知れないバケモノ」のどちらか。友好的な関係を築けている集落は皆無に近い。
文化の喪失:旧時代の映画、音楽、文学といった文化はほとんど失われている。人々は日々の生存に追われ、過去を振り返る余裕も未来を夢見る余裕もない。

5. 自衛手段:「骸(ムクロ)」の存在
比較的大きな集落は自衛手段として、AIが搭載されていない(あるいは、取り外された)旧式の歩行重機を保有している。彼らはその抜け殻となった機体を「骸(ムクロ)」と呼び、使用している。これらが「コア狩り」の主力となる。